極限へのチャレンジを支えるタフブック
©GAMBA OSAKA
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「ワンタッチパスシステム」の
情報活用によって
一人ひとりのファンを知り、
細やかな対応を実現
ガンバ大阪の観客動員数が、いま飛躍的な伸びを見せています。新スタジアム「パナソニック スタジアム 吹田」が始動した2016年には、J1リーグの試合での平均入場者数が25,000人を突破。2017年以降、一時は入場者が伸び悩んだものの、2019年の平均入場者数は29,130人(23節8月18日時点)と、同スタジアムにおけるクラブ史上最高記録に。スタジアムはこれまでにない活況を見せています。この盛り上がりは、単に2020年に向けてのサッカー観戦ムードの高まりという時流の恩恵だけではありません。実は現場では近年、一人ひとりのファンとの関係をさらに深めていこうとするクラブチームの新たな試みが徐々にはじまっているのです。ここでは次世代のチケット販売を担うぴあ株式会社がガンバ大阪と共に手掛けた改善の取り組みに迫ります。
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ぴあ株式会社
ライブ・エンタテインメント本部
スポーツ・ソリューション推進局
ファンマーケティング部 部長大下本 直人さん
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ぴあ株式会社
システム局 事業システム推進部
ソリューション開発ユニット
ユニット長兼システム戦略室高橋 佑典さん
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株式会社ガンバ大阪
顧客創造部 企画課
チケット担当小森 誠之さん
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株式会社ガンバ大阪
顧客創造部 企画課
チケット担当村山 北斗さん
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株式会社ガンバ大阪
顧客創造部 企画課
ファンクラブ担当大村 成美さん
ファン一人ひとりの顔が
見えていないことが、
より深い関係を
構築するうえで大きなネック。
昨年、ガンバ大阪のホームスタジアム「パナソニック スタジアム 吹田」には、のべ約40万人の観客が訪れています。その顔ぶれは、長年チームを応援し続けているコアサポーターだけでなく、年に数回だけ観戦するライトファンも多く、なかにはJリーグ観戦がはじめての方も少なくありません。クラブ運営をサポートするぴあ株式会社(以下、ぴあ)では、このような属性が異なる一人ひとりの来場者とガンバ大阪が関係を深められる仕組みの構築を近年継続して支援してきました。ファンマーケティング部の大下本さんはこう語ります。「以前からクラブチームが抱えていた根本的な課題は、そもそもスタジアムに“誰”が来場されているのかがわからないことだったのです」。来場人数はわかっているものの、コアなファンが来ているのか、はじめての方が来ているのかさえ把握できていなかったため、実施するプロモーションは、どうしても大雑把にならざるを得ませんでした。そこで、パイロットクラブとして改善に意欲を見せるガンバ大阪と共に、「顧客の見える化」の課題解決に挑戦。2009年には、年間シート購入者を対象として、ICカードによる入場管理システム「ワンタッチパス」を導入し、ICカードで入場された年間シート購入者の観戦履歴などを把握できるようにしました。そして、「ガンバ大阪は情報を得たことで来場回数に応じた特典の提供など、年間シート購入者の方により細やかなサービスができるようになりました」と語るのは、同クラブのプロモーション計画などを担当する小森さん。2016年にはこれをさらに発展させ、ファンクラブ会員の来場やインターネットなどで購入したQRコード付きチケットで入場される一般のお客様にも、同システムを対応させました。
しかし、「ワンタッチパス」によって電子チケットのお客様の顔が見えるようになったとはいえ、それは来場者のごく一部でしかありません。システム導入後も紙チケットで来場される方が圧倒的に多く、電子チケットの利用者数は依然として3割程度にとどまっており、「一人ひとりのファンとのより良い関係構築を目指す」ガンバ大阪のビジョン実現には、さらに抜本的な改善が必要だったのです。
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Jリーグのクラブチームが抱えている課題について話す大下本さん。
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ガンバ大阪の年間シート購入者が使用するICカード。
従来はこのカードを持つ人の情報しか把握できなかった。
スタジアム全体のサービスを
デジタル化する構想に、
頑丈かつ軽量の
スタッフ携行端末が求められた。
この問題を解決するには、クラブチームのメリットだけを考えていてもダメだ。ぴあ事業システム推進部の高橋さんをはじめとするメンバーは、「いま紙のチケットで来場されているお客様が、電子チケットを利用するメリットを感じてくだされば、今まで以上にワクワクするサッカー観戦を提供できるのではないか」という仮説から、入場認証だけでなく、イベント参加や物販などスタジアム内でのすべてのサービスを電子チケットのIDに紐づけ、お客様により楽しく、より便利なスタジアム体験を提供する企画を試みました。それが「スタジアムサービスプラットフォーム」という新構想です。このシステムにより運営側がお客様を正確に把握できれば、今日はじめてスタジアムを訪れる人に事前に丁寧な誘導アナウンスを行ったり、何度も足を運んでくださっている方に特別なプレゼントを進呈するなど、一人ひとりにより手厚いおもてなしを提供でき、結果として、それが電子チケットの利用者数増加およびさらなる満足の向上につながると考えました。
しかし、そこで議論となったのが、サービス全体が高度デジタル化するスタジアムに、どんな端末を採用するべきかという課題です。スタジアムで使用する端末には、堅牢性が欠かせません。慌ただしい運営の現場では端末をぶつけたり、落としたりといったアクシデントも考えられますし、入場ゲートやイベント会場は、常に雨や砂埃にさらされるからです。従来の「ワンタッチパス」では、堅牢性と防水・防塵性を兼ね備えたPCタイプのタフブックにバーコードリーダーなどの外部機器を接続して使用していましたが、今後電子チケットのお客様への対応を強化するにあたり、端末の「取り扱いのしやすさ」も重視したいという意見がガンバ大阪の現場サイドから飛び出しました。「従来のPCタイプはかなり重量があるため、男性スタッフが前日に台車に乗せて会場まで運んでいました。また準備の手間に加え、急遽現場のレイアウトを変えたいというときにも、即座に対応しにくかったのです」と語るのは、日頃から現場の運営に関わる大村さん。ぴあのパートナーとして課題解決に取り組むパナソニックではこの声を受け、堅牢性を備えつつ、軽量で持ち運びにも便利なハンドヘルドタイプのタフブックFZ-N1を新システムに提案。この端末であれば重さはわずか約274gのため、運営スタッフが終始首から下げていても負担にならず、入場ゲートでも、イベント会場でも、店舗でも、使いたい場所で自由に使えます。また、これまでは外部機器を接続して電子チケットの読み取りを行っていましたが、FZ-N1なら端末本体でバーコードやQRコードを読み取ることができるため、システムをスマート化できることもあり、採用が決定しました。
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タフブックFZ-N1を用いた、
新しいスタジアム体験について語る高橋さん。
そして2018年11月、ぴあとガンバ大阪はタフブックFZ-N1を採用した「スタジアムサービスプラットフォーム」を多くの方に体験してもらい、その反応を見届けるため、一日限りの試みとして実証実験を行いました。このイベント時は紙チケットで来場されたお客様全員にブレスレット型のウェアラブル端末を提供し、すべての観客のチケットを電子化。来場された約28,000人の方に、電子チケットで可能になる未来のスタジアム観戦を体感してもらう壮大な実験でした。大下本さんは「大きな混乱もなく、新しいスタジアムサービスの世界観を示すことができた」と振り返ります。その結果、「こういう体験ができるのは楽しい」「思ったより難しくないんだね」と、電子チケット利用へのハードルを下げることに成功。それまで3割程度だった電子チケットの利用率は、その後約4割まで急増したといいます。
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入場ゲートだけでなく、イベント会場でも来場者の情報を
読み込んで、個別のファン対応が可能に。
新ワンタッチパスシステムの活用以来、
ガンバ大阪のファン数はさらに増加。
未来の構想である「スタジアムサービスプラットフォーム」が現実のものとなるのはまだ少し先の予定ですが、ガンバ大阪では早速、実証実験時に試した機能のうち、入場時の電子チケット読み取り機能と、チケット情報(ID)を場内イベントに活用する機能を取り入れた「新ワンタッチパス」システムを導入。実行端末として約50台のFZ-N1を採用しました。これによって従来システムを大きく進化させたのです。
端末がハンドヘルドタイプのFZ-N1に置き換わったことで、運営スタッフの準備の労力は大幅に軽減されました。FZ-N1の充電を前日のうちに済ませておけば、あとは当日に必要な場所まで持っていくだけ。これまでのような前日搬入やセッティングは不要です。そして、お客様のお迎え時は、スタッフが軽量のFZ-N1を使って、次々に電子チケットを読み取っていきます。開場直前、スタジアム前にはいつも長蛇の列ができますが、その長い列をなす人々は、「ピコーン」という軽快な認証音とともに、スムーズに場内へと吸い込まれていくのです。そして、最もFZ-N1のメリットが発揮されるのは、現場でフレキシブルな対応が必要となったとき。「3番ゲートのお客様の入場が滞っているから、増員して!」などの指示が入ると、端末をもったスタッフがすぐに現場に駆けつけ、そのまま応援業務をスタート。PCタイプでは容易にできなかった対応です。
「タフブックFZ-N1の採用によって、ガンバ大阪のお客様対応とデータ活用による集客マーケティングはより一層進化しましたね」。入場者データの分析などを手掛けている村山さんによれば、「どういう人がスタジアム何回きているのか」が個人単位で分かるようになり、「ここ数試合はファミリー層のお客様が少ないから、次の試合では呼び込みを強化しよう」など積極的なマーケティング施策が打てるようになり、その結果、お客様との絆はさらに深化。先述のとおり、リーグ戦平均入場者数は第23節(8月18日)時点で29,130人で、前年度比120%という伸び率です。入場者増と共に昨年度から一年間でファンクラブ会員数も2,200人増の38,000人(2019年7月末時点)となりました。これは全Jリーグ中トップ3に入る人気ぶりです。
この結果には、ソリューションを継続的にサポートしてきたぴあ株式会社の大下本さん、高橋さんらも満足。今後はJリーグのほかのクラブチームやラグビーなどの別の競技の運営もサポートしていきたいと未来を語ってくださいました。その先には、スタジアムを起点に、地場の商業施設などを結びつけて地域ごと活性していくというビジョンも描かれているそうです。性別も、年齢も、立場もまるで違う一人ひとりのファンとそれぞれ密につながっていくチーム運営は、新発想の次世代チケッティングソリューションにより今後ますます加速していくことでしょう。
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手のひらサイズのタフブックFZ-N1は、
準備の手間がなく、どの現場にも手軽に持ち込むことが可能。 -
混雑するゲートでも、ワンタッチ認証でスムーズに入場。
さまざまな種類の電子チケットを読み込めるのも強み。
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※本製品の耐衝撃・耐振動・防塵・防滴・耐環境性能は、無破損・無故障を保証するものではありません。あらかじめご了承ください。
複数機器を要する現場も
コンパクトかつ多機能な
頑丈端末が一台で対応。
約274gという軽量ボディに、ハンディターミナル、PDA、携帯電話の機能を搭載した、ハンドヘルド端末。屋外や慌ただしい現場に求められる防水・防塵性能、耐衝撃性を備え、従来は複数機器を使用していた業務のスマート化に貢献します。
頑丈ハンドヘルド
TOUGHBOOK FZ-N1
バーコードリーダー搭載モデル