パナソニック株式会社は、映像制作業界において4K/8K高画質コンテンツ制作への関心が高まると同時に、IPネットワークを利用した高画質映像の伝送の技術であるVideo over IPが注目されているのを受け、放送と通信の融合による新たな価値を創造するため、業界規格団体への参画や自社商品の開発、実証実験を長年行ってきました。その提案をより具体的に示すため、新開発Video over IP Gatewayを用いてキヤノン株式会社を始めとした放送映像機器会社との連携展示をNAB2016会場内で行います。
パナソニックは、映像制作分野におけるIP技術は、オープン&フレキシブルな考え方こそが業界全体への貢献、また新たな価値の提供に不可欠であり、業界全体でVoIPの世界を作り上げていきたいと考えます。その具体的な活動としてグラスバレー社との協業(IBC2015にて発表)に続き、2016年3月AIMS※1に正式加盟しました。新しい仕組みづくりのためには、複数の企業が連携・協力し各社得意分野の技術の衆知を集めることが必要と考え、更なるインターオペラビリティー(相互運用性)を広げていくことを目指します。
またVideo over IPでの現実的な4K伝送には、映像圧縮技術が不可欠です。そこでアライアンスが着実に広がっているintoPIX社※2が開発したTICO(ティーコ)コーデックを採用しました。TICO(ティーコ)は、ビジュアル・ロスレスを実現できる優れた軽圧縮技術で、繰り返し圧縮での安定性も高いことに加え、最小遅延が1ラインの固定遅延であることから、IP伝送に非常に適しています。この超軽量コーデックにより、リーズナブルで現実的な4K Video over IPを実現し、様々な用途での応用を可能にすると考えます。
そしてパナソニックは、4K/60pのベースバンド信号をIPパケットに変換し、TICO圧縮を採用することで最大3chの4K/60pを10GbEケーブル1本での伝送を可能にしたVoIP対応ゲートウェイを開発しました。SMPTE 2022,SMPTE 2059,SMPTE RDD 35に準拠し1Uサイズで2系統の4K/60p信号又は8系統のHD信号や、ネットワーク経由での時刻同期を可能にし、将来的にはこのゲートウェイ機能を製品単体に搭載し、映像制作機器がVoIPで繋がる世界を築いていきたいと考えています。
この活動へ新たにキヤノン株式会社が賛同いただき、パナソニックと4K/60p伝送を視野に入れたVoIP実証実験を進めてきました。NAB2016では会場内の各ブースにおいて相互連携したシステム展示を行います。具体的にはパナソニックブースとキヤノンブース間を10Gbitイーサーケーブルで結びパナソニック開発のVideo over IP Gatewayを用い、両ブースに設置された4Kカメラ及びパナソニックブースに設置の4K映像サーバからの映像をスイッチングソフトウェアで自由な選択・表示が行えます。長年培ってきた放送技術とIP技術の融合が話題になり10年以上が経過した今、このVideo over IPへの積極的な取り組みが、本格的な業界改革と技術革新を生むと考えています。