マンハッタンプレイス、スポーツ・娯楽・
CM撮影用にAJ-SDX900を採用
(アメリカ)


 ニューヨークの制作会社マンハッタンプレイス・エンターテイメントは、いち早く[AJ-SDX900]を採用し、第38回米プロフットボールの王座決定戦(CBSスポーツ)のオープニング、 デイトナ500(NBCスポーツ)、全米自動車競争協会のオープニング(フォックススポーツ)、アメリカで高い人気を誇るニケロデオンの撮影やCM撮影など、さまざまなジャンルで活用している。
マンハッタンプレイス社長のスティーブ・コーエン氏は2003年10月、長年の同僚で撮影監督のクリス・バーレイン氏とSDX900を購入。ベテランの2人は、「これまで採用した15台以上のカメラと比較しても最高のカメラ」という。
マンハッタンプレイスはここ4年、アメリカのTVチャンネル、フォックススポーツの最大のイベント「全米自動車競争協会レース」のオープニングを担当している。コーエン氏とバーレイン氏は今年初めて、 SDX900とVARICAMを使用し、24p撮影を行った。なお、VARICAMは、フィルム、HD、デジタルカメラなどの販売で有名なアベルシネテック社(ニューヨーク)が、全米自動車競争協会の撮影期間中提供した。

 コーエン氏:VPスペシャルプロジェクトのプロデューサー、ゲーリー・ラング氏担当のフォックス作品のクオリティはとても高く、年々高いものを要求されます。今年はデイトナ500の直前の4日間に68人のドライバーを撮影しましたが、セットの用意や撮影だけでなく、タイトなスケジュールで編集まですべての段取りをつけなければならない。こうして撮った映像を編集して、全米自動車競争協会の18週の放送の間ずっと使うんです。

 撮影監督のバーレイン氏は、2000年からずっと全米自動車競争協会の Nextel Cupand Bushシリーズのドライバーの撮影・美術・照明を担当している。

 バーレイン氏:シリーズでは毎週、ゲーリー氏が我々の撮った映像ストックの中からオープニングと目ぼしいシーンを1、2取り出し、今のレースや過去のレース映像なんかとミックスします。放送局によって変わるエンドクレジットに使う映像にも我々の映像を使う。全部で36ほどもあるレースすべてにオープニングとクレジット映像が必要ですから、ドライバーの表情や仕草などをできるだけいろいろ撮影して、同じ映像がかぶらないようにしておくんです。

 昨年まで、 全米自動車競争協会の仕事は主にデジタルベータカムで撮影し、後処理でフィルムテイストに加工していたという。

 コーエン氏:今年はSDX900があったので、クリスと私はビデオ予算でフィルム撮影とかわらないものが撮れると思っていました。また、ラングが「最高の映像が撮れる」というVARICAMを使ってみようかという話になり、アベルシネテックに相談したら快く提供してくれましたね。
バーレイン氏:この仕事ではいろいろなフォーマットで撮影していたので、違うカメラも使ってみようという話になりました。そこで元々入れ込んでいたSDX900を使うしかないということになったんです。この仕事を完璧にしてくれたのはSDX900ですね。非常に直観的で使いやすく、SDI出力できるのでそこら中ケーブルだらけになることもなく、現場での映像調整もしやすい。また、HDカメラとしてVARICAMは理想的です。今回のセットは明るいところより暗いところが多く、普通のカメラだとそういう暗いところはただの黒ベタになってしまうんですが、VARICAMの拡張ダイナミックレンジで、影もちゃんと表現できました。今回はメインセットで16ミリとVARICAM、小さな「王座のセット」ではSDX900、緑のスクリーン前ではデジベタで撮影しました。
実はフィルムで撮影した「ガレージセット」の映像より、SDX900 (24p)で撮った「王座のセット」の映像の方がずっとフィルムらしかったんです。ガレージセットとも違う、いい雰囲気が出ていた。
スティーブはSDX900を担いでいつもセットの中を行ったりきたりしていたんですが、そのうち違う感じの映像を撮りたくなり、ガレージセットでVARICAMを使ってみたら、拡張ダイナミックレンジのおかげでセットの暗いところのディテールも表現できました。今までのカメラよりずっといい映像をゲーリー氏に提供することができましたね。VARICAMの24pの非常にきめ細かいフィルムのような映像を、ずっと探していたんですよ。コストの問題でフィルム撮影したのはほんの数ヶ所だけでしたが、VARICAMとSDX900を使ったので、インターレース映像の欠点を見事にカバーし、ビデオカメラとは思えないとびきり上質な映像になりました。
SDX900では、ブラックストレッチかマイナスモ-ドを使ってセットの暗部をつぶし、全体的にマトリックス調整して彩度を増減しました。今まではホワイトバランス設定でいくつか画質を保存して、ペイントボックスを使って現場で色調整していましたが、今年はもっぱらバリライトのカラーチェンジャーでセットの色を変更しました。
フィルムに焼く必要がないため、VARICAMでは少しコントラストの強いV-Recモードで撮影し、少し黒を減らして広いダイナミックレンジを狭くしました。でもなにより、アベルが用意してくれたこのカメラ自体が素晴らしかった。SDX900やVARICAMは、ビデオレンズを使ったり、フォーカスを引っ張ったり、一人で楽に操作でき、フィルムと違って30分ほど回したら新しいテープを入れればいいから簡単です。昨年までのデジベタとまったく同じように扱えるのに、今までよりずっと映像が優れているなんてすばらしいですよ。
コーエン氏:DVCPRO50デッキ(AJ-SD930)のSDI機能を使えば、SDX900映像をデジベタにデジタル複製できるので、アベルシネテックでHD 映像をデジベタに転送しました(全米自動車競争協会用映像はすべて、デジベタに複製、転送、ダウンコンバートして、L.A. でテープベースで編集し、SDで放送される)。その後フォックスTVでカラードレインを使って色温度などを変更して編集します。フォックスTVはあと6ヶ月でHD放送が導入される予定なので、今後はSDX900とVARICAM(まもなく購入予定)で仕事をしていく予定なんです。

 マンハッタンプレイスは以前、フォックススポーツの番組をフィルム撮影したことがある。

 コーエン氏:ゲーリー・ラング氏が担当のフォックスのMLBベースボールポートレートでは、本格的な16ミリ(現在は24pを使用)で撮影しました。VARICAMやSDX900 はフィルムと比べてかなりのコスト削減になるし、フィルム代や現像料を気にすることなくたくさんの映像を撮影できます。フィルムからテープへの転送コストも不要で、すぐに納品できる。プロデューサーはフィルムを編集用に発送しなくても、映像をL.A. に持って帰ることができるのです。通常でフィルムよりも2日は納期を短縮できるので、その点でフィルムは圧倒的に不利です。VARICAMの24p映像は、16ミリの映像より優れていると思いますね。たとえフィルムで撮影する予算があったとしても、絶対VARICAMで撮影した方がいい。こういう仕事にはまさにぴったりですよ。

 マンハッタンプレイスが制作した全米自動車競争協会の撮影ラッシュは、クライアントに満足感を与えたという。

 コーエン氏:24p 映像はプロデューサーの期待以上だと思いました。ラング氏は大事なクライアントで、美術と技術に関しては非常に厳しいプロデューサーですが、モニターで24p映像を見た途端「すごいね、素晴らしい。まるでフィルムで撮影したみたいだ。君の意見は正しかったよ」と言ってくれました。次の全米自動車競争協会シリーズも24p撮影することが決定しました。
SDX900はプロとしてもワクワクするカメラです。さあ撮ろう、と思いたっていきなり外に出ても、フィルム撮影しているような映像が撮れるなんて。
1987年から少なくとも13台はカメラを買いましたが、フォーマットがみんな変わってしまった。いずれVARICAMも購入する予定ですが、とりあえずすぐにSDX900 を買うことになりました。これからも24pで撮影していきたいと思っています。SDX900とVARICAMのどちらがベストかと聞かれればVARICAMを選びますが、クライアントの予算がきつい場合はSDX900でも十分です。これからもこの2台でたくさん仕事をしていきたいと思っていますよ。
バーレイン氏:SDX900 は、Zeiss Digi Primesレンズで歌手のアダム・グリーンのミュージックビデオを撮影したあとに入手しました。低コストなのに高画質という点が気に入り、スティーブに相談してさっそく一台買ったんですが、使ってみてビデオの仕事にのめりこんでしまった。今までにかなりいろいろ撮りましたが、これからもSDX900を使い続けていきますよ。CM、ミュージックビデオ、映画までSDXで撮ってきて、今は有名なガラス芸術家ウィリアム・モリス氏のドキュメンタリーをVARICAMで撮影しています。
SDX900とVARICAMはどちらも使いやすくてさまざまなジャンルに対応できるので、現在入手できる中で最高のカメラです。もっぱらこればかり使っている、と友人にもいつも話していますよ。