取材用カメラはAJ-HPX2100とAG-HPX175

CATV大手MSO（統括運営会社）のジャパンケーブルネット（略称：JCN、東京都中央区）は、グループ全局のコミュニティチャンネルをHD化するため、全17のグループ局および関東3ヶ所の制作拠点すべてにP2HDシリーズを導入しました。2011年4月に開始予定のコミュニティ放送HD化に照準を合わせています。
JCNは首都圏を中心にした全国17局のCATVネットワークを構築しているほか、東京・神奈川・千葉の各エリアにおいては局とは別の制作拠点を設けています。ここ数年にわたって各拠点の制作現場に順次P2HDを導入しており、今年度に入って全局での運用が始まりました。12月にはすべてのスタジオ／サブがHD 対応となる予定で、全サブにメモリーカードレコーダー／プレーヤーAJ-HPM200（P2モバイル）が追加導入されます。スタジオ／サブのHD 化により、グループ内の完全HD 制作態勢が整います。

ノンリニア３チェーンを構えるJCN千葉局の編集室	番組交換に使われているP2デッキAJ-HPS1500

■番組交換用としてスタートしたP2の導入
JCNでは、機材を共同購入することで、スケールメリットによる機器購入コストの低減や、CATV局の購買業務負担をなくしています。また機材を統一することで、グループ間での制作スタッフの異動や緊急支援時の対応をスムーズにしています。グループが11局となった2004年、登場したばかりのテープレス制作フォーマット・SD 版P2シリーズを番組交換用として採用。各局にP2メモリーカードレコーダー（P2デッキ）を配備しました。これがP2 導入のスタートでした。放送素材を収めたP2ファイルをIP 網経由で相互利用。これは当時、世界初の事例だったといいます。
JCNで機材調達を担当するコミュニティコンテンツ運用部の遠藤恭司グループマネージャーは、採用経緯について次のように話しています。「当時、アナログテープフォーマットを含めたさまざまな形式が各局間で混在していた中で、P2はどのVTRフォーマットからでも制約なく変換することができたのです。また今後の取材フォーマットの統一を検討する上で、これからはテープの時代ではないと考えたこともきっかけでした。P2には番組交換ファイルだけでなく、取材フォーマットの核になることも期待できました」。

遠藤恭司氏

■スピード・画質・ランニングコストに高い導入効果
現在、各拠点には取材カメラとしてP2HDカメラレコーダーAJ-HPX2100（P2カム）を各2 式、AG-HPX175（P2ハンドヘルド）各2式を基本構成として配備されています。編集機はトムソン・カノープス製ターンキーシステムを各2～3 台設置。最初に導入したSD 版P2デッキは、すべてP2HDのAJ-HPS1500に更新されています。
P2HDの導入効果について遠藤氏は、「作業効率向上だけでなく、（カード・リユースによる）ランニングコストの削減も実現しました。画質面では、ほかのコーデックを試験したこともありますが、P2HDが最良だと感じています。編集機との親和性が高く、ダイレクト編集とバックグラウンドコピーにより、待ち時間なく編集に取り組むことができ、スピード重視のニュース制作に役立っています」と語ります。
JCNは、2010 年度に送出センターを東京・豊洲に開設する計画を立てています。現在SD 映像制作での利用が主となっているP2HDは、センター稼働を機にHD制作用途へ切り替えられます。その際、各局からセンターへの送信フォーマットとして、高画質で伝送効率の高いAVC-Intraコーデックを採用することも視野に入れています。

■JCN グループのP2 納入台数（今年度納入分を含む）

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